自分の体重を計るのに三角定規を持ってくる人はいない。
何かしら物事を判断するためには、目安になるモノサシが必要である。しかし、そのモノサシも使い方を理解していないと、トンチンカンな答えを導き出してしまう。
もし役に立つ場面があるとすれば、正月に親戚が集まった時のお笑いネタになるくらいだろう。
受験生にとって偏差値とは何であるか、と言うことはとりあえずわかっていると思うが、一応概要だけ説明する。
あるテストを受けた母集団の中で自分の得点が全体の中で、どの位置にいるかを示す値である。当然母集団(学校内だけの校内模試での偏差値というのもあるが、ここでは校外模試としては河合塾や駿台、進研模試などを想定している)が変わると偏差値も変動するので絶対的な尺度ではない。
では、偏差値は一体何のためにあるのか。
私は、偏差値は受験において、志望校と自分の位置を確認するための地図だと考える。
志望校を目的地として考えた場合、偏差値は志望校までの到達距離をシミュレーションした値である。偏差値が高ければ高いほどシミュレーション上では到達距離が短くなる。但し、偏差値が上がり続けて限りなく到達距離が短くなっても、しょせん模試であり、シミュレーションであるため、実際に志望大学の入試を受験するまで到達はしない。いくら模試でA判定を連発しても、当然ながら入学許可は下りない。
つまり、偏差値だけでは、志望校に対する自分の現在地しかわからない。
さて、受験生は志望校を決めるとき、何を重視するのか。
自分が何をしたいのか。将来どうなりたいのか。興味があるもの、今からやってみたいこと。例えば、「自分のお店、会社を持ちたい」「好きなことで食っていきたい」でもいいし、「公務員って安定しているから憧れる」でもいい。なんなら「楽して儲ける方法を、楽して身につけたい」でもいい。とりあえず、教師や親に押しつけられた、上っ面だけの薄っぺらい志望動機ではなく、自分の本当の志望動機を一度ガチで深掘りすればいい。
そうすると、自分の本性が見えてくる。そこから先は、学校、塾、先輩、ネット、両親、親族など、あらゆる情報網を駆使して調査する。
そうすれば、偏差値はモノサシの一つでしかないことが納得できるはず。